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SENSEMAKING センスメイキング 【人と違った視点を持つ方法】

独自の視点・独自の声

SENSEMAKING (センスメイキング) はデータ至上主義の現代にあってデータを眺めているだけでは感じることのできない集団の中に流れる空気や匂いをどのように捉えるのかその方法を教えてくれる本です。審美眼を鍛えれば人と違った発想ができるようになります。あなたのブログやYouTubeが周りとはちょっと違ったものになるかも。この記事では序章と一章のごく一部分だけをまとめています。さらに詳しくセンスメイキングを使いたい方や事例も併せて読んで理解を深めたい方は。本を手に取ってみると良いと思います。

SENSEMAKING (センスメイキング) とは審美眼を鍛える方法

この本における審美眼の意味は本質(意味のある違い)を見極める能力のことです。

美を的確に見極める能力。

審美眼, weblio辞書, 審美眼のページ, https://www.weblio.jp/content/%E5%AF%A9%E7%BE%8E%E7%9C%BC, 2021/9/20

何で審美眼鍛える必要があるのかその背景、理由、使い方の説明に入ります。

紹介したい本

センスメイキング――本当に重要なものを見極める力

データ至上主義の落とし穴と今こそ我々がするべき行動についてが学べる本です。

ITの発達によって昔では考えられないような莫大なデータを取得できるようになったはいいのですが、データはあくまでもデータです。データが勝手に次のアクションを示してくれるわけではなく、データを解釈する人が必要です。データを解釈する人にその力量がなければ結局へんてこりんな判断を下してしまうことになる。だからちゃんと自分の感性を磨いておく必要があるよねっていう話がこの本の大まかな話です。私は化粧品メーカーで研究員をしていますが、マーケティング部が話す提案にいまいち気持ちがこもっていないなと思うことがあり、リサーチはされているけど、リアリティがないなと思うことが多いなって思っていたところこの本に出会いました。わざわざお金と時間かけて調査してきた結果が、調査対象に聞かなくてもわかるようなことで、我々はこれをやるべきです。ドーンと言われると困るよー。

今、文化的探究が失われている

そもそも何で現代はデータ至上主義になってしまったのか本書では以下のように書かれています。

理由①人間はポンコツでコンピュータには敵わないという意識

我々の文化の中での人間の位置付けについて、人間である以上は欠陥だらけという真実が込められている。エンジニアリングの正解では、この特性を「ヒューマン・ファクター」(人的要因)と呼ぶ。

クリスチャン・マスビアウ センスメイキング 本当に重要なものを見極める力 プレジデント社

理由②GAFAMをはじめデータを駆使して大きくなった企業が世界をリードしており、コンピュータすごい、データってすごい、データを読めなければ生きていけないという信仰が生み出されている。

最近は、アマゾンやグーグルをはじめ、数え切れないほどのアプリやベンチャー企業がビッグデータを活用している話題で持ちきりだ。企業の評判などを社員が評価するサイト「グラスドア」では、(中略)二〇一六年の米国ナンバー1の職種は「データ・サイエンティスト」だったと発表している。

クリスチャン・マスビアウ, センスメイキング 本当に重要なものを見極める力, プレジデント社

学位の数やお金に如実に現れていて人文科学をはもはや絶滅寸前。

一九六〇年代以降、人文科学系で授与された学位数は半減している。人文科学系の研究助成金も激減の一途を辿っていて、二〇一一年には科学技術系の研究開発助成総額の〇.五%にも満たない状態だ。

クリスチャン・マスビアウ, センスメイキング 本当に重要なものを見極める力, プレジデント社

国会議員の口からも人文科学系はもはや不要とも取られかねない発言がされている。

二〇一六年の米国大統領選を目指して共和党の指名争いを展開していたジェブ・ブッシュは、心理学のような分野を選考していたらファーストフード・レストランあたりで働くことになるだろうと聴衆に語った。同じ年、日本の文部科学大臣は、国内の大学の人文・社会科学系の学部を廃止するか「社会的要請の高い分野への転換」を迫った。

クリスチャン・マスビアウ, センスメイキング 本当に重要なものを見極める力, プレジデント社

何というかひどい状態ですが、理系出身者でありながら心理学とか天文学とか美術とかが好きだった私にとってこれはかなりヘビーな事態です🍃

文化的知識は不要になったのか?

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全く評判のよくない人文科学系の知識は不要になってしまったわけではない、と筆者は著書で述べています。むしろ今こそ学ぶべきであると。幅広い知識や経験が創造性を高めると思っている私も共感できる部分です。

STEM(科学・技術・工学・数学)、つまり理系の知識が不要と言っているのではない。だが、仕事で成功するには、人文科学や社会科学のトレーニングも負けず劣らず大切なのだ。

クリスチャン・マスビアウ, センスメイキング 本当に重要なものを見極める力, プレジデント社

これだけだと言いたいことを主張しているだけなので理由も述べられています。

理由①成功者のデータを解析すると人文科学系出身者が多い

二〇〇八年、『ウォール・ストリート・ジャーナル』がペイスケール者による国際的な報酬に関する大規模調査の結果を報じていた。STEMと括られる純粋な理系教育を受けた学生は、総じて大学卒業後すぐに給与水準の高い職に恵まれていることがわかった。…(中略)…全米で中途採用の高年収者(上位一〇%)だけに絞って見ると話は変わってくる。一一位になってようやくMITが顔を出す。一位から一〇位までは、教養学部系の強い学校が連ねているのだ。

クリスチャン・マスビアウ, センスメイキング 本当に重要なものを見極める力, プレジデント社

理由②成功者の証言

プロクター・アンド・ギャンブルの元CEO、A・G・ラフリーは、今日の複雑な経営環境の中で事業を成功させるためのアドバイスを求められて、ひと言、「教養の学位を取りなさい」と答えている。…(中略)…「芸術、自然科学、人文科学、社会科学、言語を学ぶことで、知性が精神的な器用さを育み、新しい考え方にオープンな人間になる。これは常に変化する環境の中で成功を収める条件でもある。…(中略)…有力な経営者を目指すのであれば、幅広い教養を身につけ、曖昧さや不確実性に上手に対応していく力が欠かせない幅広い教養課程を修めれば、概念的思考、創造的思考、批判的思考(クリティカルシンキング)の力が伸びる。これは、心を鍛え抜くうえで欠かせない要素である」

クリスチャン・マスビアウ, センスメイキング 本当に重要なものを見極める力, プレジデント社

ある程度のところまでは理系出身者が優位ってことは間違いないようなのですがそこからさらに上を目指すのであれば、幅広い知識を習得しようねっていうのはとても説得力がある言葉です。また、何も出世を目指す場合に限らず、日頃仕事や個人事業や何ならブログを書く上でも十分に必要なことだと思います。独自の視点、独自の声は何よりも他と差別化できるポイントだからです。ちなみに、理由①では根拠としてデータが使われていますが、やっぱりデータは自分の考えを立証するための手段であるということがわかります。データが何かを自発的に語ってくれるわけではない。

主張(仮説):人文科学系の出身者は成功を収めている
根拠(検証):成功者を調べたら、確かに上位は人文科学系出身者が多かった。

主張(仮説)があって根拠を探す。いきなり検証から入る人はいないでしょう。

今こそ SENSEMAKING

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センスメイキングとは文化を探究する人文科学を学ぶことで「意味のある違い」に対する感度を高めること。冒頭での審美眼を鍛えるということに戻ってきました。これだとやや抽象的なのでセンスメイキングは以下の5原則があるそうです。

センスメイキング5原則

1「個人」ではなく「文化」を
2 単なる「薄いデータ」ではなく「厚いデータ」を
3「動物園」ではなく「サバンナ」を
4「生産」ではなく「創造性」を
5「GPS」ではなく「北極星」を

クリスチャン・マスビアウ, センスメイキング 本当に重要なものを見極める力, プレジデント社

どれも含蓄のある言葉が並んでいます。個人的に意表をつかれたのは1「個人」ではなく「文化」をです。個人的には人を理解するにはその人一人を徹底的に調べ上げることで深い洞察が得られると思っていたからです。(N=1分析)これだと私の思っていることと真逆なのですが読み進めていくと個人の考えはその人が生きている文化によって形成されているということが書かれてしました。つまり、日本人を知りたい場合は、日本人を調査するのではなく日本に住むことが重要で、それによってなぜ日本人は皆、真面目なのかとか、礼儀正しいのかとかマナーを遵守できるのか、といったことがわかるんだよと言われれば確かに…と思いました。結局なぜ我々がそんなに真面目で礼儀正しくてマナーを遵守できるのかは自分たちでも説明できないですもんね。原文がどうなっているかわかりませんが、文化を理解するという訳を当てはめたの凄い。感心です。

SENSEMAKINGを使うステップ

sensemaking

薄いデータというと調べなくてもわかっている、またはネットで検索すればすぐに出てくるデータといったことでしょう。昔はデータは自分で外に出て集めなければいけなかったのですが、今や一切外に出なくてもデータは入手できてしまいます。百聞は一見にしかずという言葉がある通り、誰かが言っていることよりも自分が体験した方が何倍もリアリティがありますよね。

そこで注意なのはライオンを知るために動物園に行こうではなく、サバンナまで行ってみようです。バケツからご飯を食べるライオンはそこにはいないでしょう。

そこで目の当たりにする現象はきっと一貫性のないことばかりなのではないでしょうか。わかりにくい現象が目の前で起こると考えるのに疲れてやめてしまう人がいいのではないかと思います。よってここで自分の頭で考え抜く創造的思考が重要なのではないかなと思います。

そうしたら誰かが引いてくれたレールを進むのではなく、最終的な方向だけは間違わずに、紆余曲折があっても目的地につけるようレールを自分で敷く必要があります。

ちょっと抽象的な表現ばかりになりましたが、これを概念的に捉えられると自分の視点を持てるようになると思います。

まとめ

この本はデータ至上主義の落とし穴と今こそ我々がするべき行動についてが学べる本です。

センスメイキングとは審美眼を鍛える方法です。

データ至上主義にあってセンスメイキングを養う人文科学系学問が疎かになっていますが今だからこそ必要な知識やスキルです。

センスメイキングは5原則がありそれぞれが含蓄のある言葉でこれだけ読んでも深く考えさせられるものです。必要なツール(手段)は誰でも手に入る世の中にあって、人と違った視点を持つことがこの先仕事でも個人事業でもブログでも重要になってくると私は思います。

その際センスメイキングが役に立つのではないでしょうか。

この記事では序章と一章のごくごく一部分だけを引用してまとめました。(本は全部で八章まであります。)これからセンスメイキングを使いたい方、事例も併せて読んで理解を深めたい方は、本を手に取って読んでみることをお勧めします。

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